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生きづらさと向きあう任意団体

子ども食堂

拠点となるお寺、大募集! フードバンクアリス福祉会@倉敷

倉敷市で昨年9月に発足したばかりなのに、すでに10社もの食材提携先をもち、発足以来わずか半年で数トンもの食材を集めているフードバンクがあると聞きました。
しかも集めた食材や物品を、お寺を拠点に循環させることを企画中というではありませんか。

このフードバンクを運営するのは、就労継続支援A型事業所をする一般社団法人アリス福祉会

代表理事の稲見圭紅さん(写真右)と、理事の藤原巧さん(写真左)にお会いしました。

困窮者のためにやってるんじゃない!
お金持ちも、来て、見て、もらって、考えてください

稲見「私がフードバンクを始めた観点は〝福祉〟ではなく〝環境〟なんです」

え? 名前が福祉会なのに、福祉の観点ではないの?

鋭いかたは気づいたかもしれません。この矛盾が大きなミソなのです。
福祉施設を運営している稲見さんだからこそ、フードバンクをやるなら福祉の観点ではだめだと気づいたのです。

稲見「福祉の観点でモノを見る人は、〝どうせ廃棄されるものだから恵んであげる〟という言いかたになるでしょう。それ、福祉に携わる側からしたら〝絶対にもらいたくない〟ってなるわけですよ。
でも私は、ともかく廃棄されるモノを減らしたい! という環境の観点で食品を集め、〝お願い、もったいないから使うて!〟と言って回るんです。つまり、もらいに来てほしい人には困窮している人ばかりでなく、お金持ちも含まれます。〝誰でもいいから、使うて〟、〝もったいないという意識をもてる人、集まろう!〟なんです。
経済的に余裕がある人にも、いますぐ食べるなら賞味期限の迫ったものから買う、必要なだけ買う、ということを根付かせて、世の中の無駄を減らしたいんです」

なるほど。そういわれたら、タダで食品やモノをもらうといっても恥じる必要がありません。
企業の側からしたら、箱にほんの少しの印刷ミスがあったり、鍋のフチがちょっとだけ凹んでいたりするだけで、店頭には並べられない「不良在庫」となります。
でも使えるんだから、食べられるんだから、「それは私たちからすると、不良品ではない!」

多少の訳あり商品も、流通に乗った以上は使命をまっとうさせたい。
……その思いは、〝可能な限りの能力を活用させたい〟という福祉ベースの視野に裏打ちされていると感じました。

現在、関西圏の複数の大手スーパーをはじめ、全国展開するチェーンや、食材だけでなく雑貨を扱う企業などとも提携。

しかも、集めた食材や雑貨を配布するスピードが非常に迅速。
施設の人材や地域の学生を起用して、地元スーパーが「消費期限残12時間」で見切り品とした惣菜などを、その日のうちに配り終えます。

稲見「岡山にはもともとしっかりとしたフードバンクがあります。でも食材の提供を受けるには、取りに行かないといけない。ほんとうに困窮している人は、取りに行く足代がないという話を聞きます」

藤原「食材が集まりすぎて、配布する場所探しが大変になってきています。そこで目をつけたのが、地域のお寺。お寺はそもそも施し・施される場所なので、〝もったいないから、ここを拠点にグルグル回しているよ〟ということがなじむと考えたんです」

ご覧のように、フードバンクといっても食材だけでなく、さまざまなものが寄せられています。
稲見「廃棄・焼却される運命にあるこれらの物品を、サルベージして使う人のところへ循環させてくれる仲間や人と、どんどんつながりたい」

関西・近畿・四国地方のお寺さまや仏教会で、このことを知り「ぜひ協力したい!」というかたがいらっしゃれば、ぜひご連絡くださいとのこと。

藤原「倉敷まで物品を取りに来るガソリン代さえ持っていただけたら、どんどん共有します」

フードバンクアリス福祉会の連絡先

事 務 所 :〒712‐8043 岡山県倉敷市広江 5丁目 2‐45

電話番号:086‐436‐6603

F A X :086‐436‐6613

E-mail : alice2015@snow.plala.or.jp

寺院の“縁側”という発想=八王子アミダステーション視察

2年前にひとなみ勉強会を開催した八王子アミダステーションが、プレハブから立派な新築に生まれ変わりました。「延立寺縁側」として生まれ変わったアミダステーションの視察報告です。

駅前拠点

松本智量住職のお寺・延立寺は、JR八王子駅や京王八王子駅から車で20分ほどのところにある。バスや車を使わなければたどり着けないその立地でも、法話会には熱心な檀信徒が数十人集う、活気あるお寺ではあった。
しかし、「もう少し利便性の高い場所に、市民が集える場所がほしい」と、2年ほど前に八王子駅徒歩5分のプレハブ倉庫を手に入れ、延立寺の別院・アミダステーションとして市民に開放。「八王子市民のがっこう」はじめ、さまざまな市民活動のスペースとして利用されてきた。

「予想以上に使ってもらえている」と感じた智量さんは、不特定多数が出入りする場所として安心して使ってもらうため、プレハブから本格建築への建て替えを決意。新生アミダステーションは「延立寺縁側」と名付けられ、2016年1月に始動。

KIMG1422壁は、倉庫時代の黒色からクリーム色に。3F建ての新築に変貌しました。場所は、八王子駅北口徒歩数分のまま。

KIMG14291Fは、投影設備や立派なスピーカーを備え、映画上映にも適したスペース。
(スクリーンとプロジェクターは1F、2Fともに常設され、いつでも映画上映できる)

写真はないが、いまのところ倉庫となっている3Fは、畳を敷き詰めれば瞑想道場風にも使えそう。

「お仏壇+書庫」というマッチング

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仏教書から哲学書、文学、漫画まで。数多くの蔵書が並ぶ“知の空間”は1Fから2Fへ。
本を読む人が激減した時代に出現した「お仏壇と書庫のマッチング」は、レトロと近未来が融合したなんともあったかい空間。

置き畳や座布団で、“茶の間風”に利用できるのもうれしい配慮。

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月に1度程度、「子ども食堂」としても利用されている。

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市民団体から寄付された目印看板は、プレハブ時代と同じ。

KIMG14352Fには冷蔵庫や食器も完備。

“縁側”による、儀礼機能と結縁機能のすみわけ

アミダステーションができる前の延立寺は、智量さんが趣味で集めた漫画や書籍が客殿にも天井いっぱいまで並び、個性のあるというか、なんとも不思議な「漫画と本のあるお寺」だった。
お寺は、葬儀法要の時間だけでなく、いつでも、本や漫画を読みにふらっと立ち寄ってもらっていい場所。そういうアピールのあるお寺ではあった。

しかし、檀信徒でもない市民がふらっと立ち寄る場所として、車やバスで20分はたしかに敷居が高すぎる。
駅前にアミダステーションができたことで、法要など檀信徒向けの「儀礼機能」と、営利の競争からいっとき離れて“ちょっと考え事をしてみたい”というときに立ち寄れる「休息機能」(うまく発展すれば、休息を求めた市民と市民がいずれつながりあっていく「結縁機能」を兼ねる)とが、うまく分離された。

後者の機能を果たす場所を、縁側(=靴を脱いで「お邪魔します」と上がらなくても、ちょっとお茶を飲んで語らいに寄れる場所)と名付けた智量さんのセンスに脱帽する。

縁ある者だけがふれられる“知”

いや実際、釈尊の教えも書物の教えも、半世紀前は当たり前にあったけれど、現在は、「あえてふれてみた人だけにゆるされた知」になりつつある。

2Fに並ぶ文学全集や仏教書、哲学書を、じっさいに手に取って開いてみる人は年間に数人しかいないのかもしれない。
だがそれでも、そこにお仏壇と本が並んでいるということの意味は、とても大きい。

哲学や文学を語ることなく、すなわち「人生とは?」「生きる意味とは?」を考えるいとまもなく、過去の時間や場所に生きてあえいで苦しんだり楽しんだりした現実のリアルな人たちに共感することもないままただ公式をおぼえ地名をおぼえ年号をおぼえ、そして就職し、顧客や患者や利用者ひとりひとりの苦悩や満足や笑顔とはほぼ無関係に契約書を交わし領収書を切りハンコを押して業績に貢献し、朝夕満員電車に揺られ日々を過ごす私たちが、この空間へたどり着くということ。それ自体が、“いつもと違う思考”への入口なのだ。

お仏壇を見て、そういえば子どもの頃、祖父母は毎朝、お仏壇に手を合わせていたけれど、自分は誰かの葬式でもなければ手を合わせることもしていないなぁと、気づく。
学生の頃は哲学書のひとつも読みかじったけれど、ここ20年実用書しか読んでいないじゃないかと、気づく。

じっさいに手を合わせてみなくても、本を手に取って開かなくても、気づいてみるだけで、大きな一歩なのだ。
どのみち、書かれているのは何十年何百年前に生きた誰かが人生について「こう考えてみた」という事例にすぎず、同じように考えなければいけないわけでもないし、個々人の人生の答えが何百冊の中の1冊に書かれているわけでももちろんない。大事なのは、“考えてみる一歩があるか、ないか”だけだ。

利他とか社会貢献というキーワードを用いるだけなら、案外たやすい。
でも本当の利他は、まず自分自身の立ち位置とか、生きていることの意味を感じ考えるところからしか、始まらない気がする。自分自身が枯渇したままで、誰かを救済しようなんて無理な話。

その意味で、お仏壇と書庫のあるこの空間は、まさに近未来のお寺の理想形だ。

利用料は“お布施”(定額ではない!)。
知の縁側に腰をおろしてみたい人はぜひ、集ってみてほしい。
行政ではないので、もちろん八王子市民でなくても利用可能。

◆延立寺縁側(通称:アミダステーション)の利用申込みは… ⇒ こちら