お坊さんと、常識を覆して生き生きしよう!

お盆の棚経を、GPSの活用で〝信徒ファースト〟に変革しよう!

僧侶の皆さま。毎年、暑いさなかのお盆の棚経、誠にお疲れさまでございます。

2020年は、新型コロナウイルス感染予防のため件数が減ったお寺が多いようですが、それでも日に10軒以上回られているかたもいらっしゃるでしょう。

コロナを理由に棚経を断る理由の8割は「1日つぶれてしまうから」

11時って言われても、10時半に見えるときもあるし、12時すぎるときもあるしなぁ……

棚経に来ていただけることは嬉しいのだけれど、その日は午前も午後も予定を入れることができない。

Twitterでもこの件いろいろチェックしていたのですが、待つ一般家庭と、廻られるお寺さまと、双方さまざまなご都合、ご要望があります。

前のお宅で悩み相談されると、間に合うと思っても30分やそこら遅れてしまう

あまりキッチリ予定表をお配りすると、押した場合に「ウチの前は平均何十分いたはずなのに10分で切り上げられた」とか、それはそれでトラブルの元なんです

1軒終わったら次のお宅へ向かう前に電話、とかも考えましたが、その数分でさらに全体が何十分も押してしまうんですよね……

〝お盆の棚経問題〟のポイント

  • 一般家庭の人は、お坊さまが1日に何軒くらい回られているのかを想像だにしていない(数軒だと思っていることも)
  • 年に一度しかじっくりお話しできないので、このときとばかり親の介護の相談や、将来の墓じまいのことなど、煩雑な相談をする人もいる
  • 昨今はツールが多すぎ、事前連絡や15分以上前後する場合の連絡をしようにも、ある人は電話しかない、ある人はLINEがいい、ある人はメールがいいとなってしまう
  • 連絡したらしたで、その後の渋滞などにはまるとさらに気を揉ませてしまう

葬祭カウンセラーの視点から

  • 棚経をお願いするのは檀信徒の中でも親密におつきあいしているご家庭。だからこそ市民の側は、このときとばかりお話ししたいことを用意していたりする
  • 地域によるが、数万円のお布施をお包みする場合、一般的なカウンセリングの値段等を考えれば、相談ごとがあれば小一時間は話を聞いていただけるのが妥当と考えられる
  • その場でおうかがいすることは難しいと思うので、「お盆はご供養がメインなので、とくにご相談ごとがあるかたは別の機会に改めてお聞きします。その日時のご相談は棚経のときいたします」など、あらかじめわかりやすくご案内しておくとよいと思われる
  • お寺にご相談するのは、一般の人にとっては、とても勇気がいる。とくに、将来の墓じまいの話など、切り出しづらい話は棚経の際にさわりだけうかがっておいて、お彼岸前後に日を改めてお寺でご相談、という手順が定着するように、うまく運ぶことがお互いのために重要

もっと簡単な最適解! スマホの地図アプリのGPS共有

昔は「待つのが当たり前」だった路線バスでさえ、都市部では「いま2つ前のバス停を出ました」などと表示されるようになっています。

中高年ですら多忙を極める昨今。〝待つ〟ことの不合理を減らしつつ、ちょっとしたご相談にも応じられるようにしたいですね。

  • バスのようなアプリにすると、まわるご家庭の地番など個人情報が洩れる可能性がある。
  • めぐるルートを公表することも難しい。
  • お寺へ問い合わせが来て、寺族が住職の携帯に問い合わせをしても、読経しているか運転しているかご相談をうかがっているかなので、なかなか取ることができず、寺族もイライラしてしまう……

寺族がイライラ!?

これをきいてOkeiは、以前にオリラジの中田敦彦さんがテレビ朝日系列「オレの持論」という番組で、

夫婦でGoogleマップのGPS共有をしておけば、不倫や浮気は100%防止できる。
わが家は、GPS共有をしています!

と述べていたのを思い出しました。

中田敦彦さんのこの提案は、「GPS共有しないと浮気を防止しあえない夫婦って……」とか、「あえてそんなツールを使わないことが信頼だろう」といった批判もありました。それに対し中田さんは、

コンビニの防犯カメラだって、普及する前は「客を泥棒扱いするのか」と、批判は殺到したはず。だけど今は、あれがあるおかげで女性も深夜に安心して買い物できるし、「カメラで見張られているからコンビニに入りづらい」なんて人は、いませんよね? 

人間は出来心で、してはいけないとわかっていることをやってしまう性分があるから、ほとんどの店に防犯カメラが設置されている、ということが、万引き防止になっているんです。

と持論を展開。

まぁ性善説か性悪説かはこの際置いておきましょう。
話をお盆の棚経に戻しますと、お坊さまは浮気をしないのだから(一年でもっとも多忙なお盆の期間に、そんなことをする余力などあろうはずもないのだから)、この期間に限り、奥さまもしくはお寺の事務方とGPS共有してみてはいかがでしょう?

そうすれば、檀信徒はお寺へ電話問い合わせすると、即座におおむねの住職の現在地がわかりますので、情報提供できるわけです。

GoogleマップのGPS共有の方法は、こちらをご参照ください。

設備投資がゼロという点も、いいですね。

棚経に行く先が車でかなり離れていて、時間が読めないという僧侶のかたがたは、ぜひ検討なさってみてください。

■お寺と市民の距離を縮めるこちらの動画も、ぜひご視聴ください

【墓じまいシリーズ③】市民が墓じまいを決断するお寺の応対ナンバーワンは……?|相続や改葬の現場で聴いた声を、葬祭カウンセラーOkeiが伝えます
この記事を書いた人
『いいお坊さん ひどいお坊さん』(ベスト新書電子版, 2011)、『心が軽くなる仏教とのつきあいかた』(啓文社書房, 2017)ほかの著者、勝 桂子(すぐれ・けいこ)、ニックネームOkeiです。 当サイト“ひとなみ”は、Okeiが主宰する任意団体です。葬祭カウンセラーとして、仏教をはじめとする宗教の存在意義を追究し、生きづらさを緩和してゆくための座談会、勉強会を随時開催しています。
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