お坊さんと、常識を覆して生き生きしよう!

映画■愛の嵐

理解不能とか、SM映画であるとか、いろいろ言われた映画です。
ひとなみ的に、解釈してみたいと思います。

ひとなみ的には、ヒロインが何不自由ない夫との暮らしを離れてしまった一番の理由は……

どうして私だけ生き残ってしまったんだ病

すなわちいわゆるPTSD状態で、ガス室へ送られた多くの同胞を思うと自分だけが戦後の世のなかで〝なに不自由ない暮らし〟をつづけることができなくなってしまった、のだと感じました。

戦時中にいたぶられた相手との鉢合わせ。そのとき彼女はバスルームに逃げ込み半狂乱になります。
あの瞬間に、過去の時間といまの時間とのギャップが彼女を襲ったように感じました。

生き残ってもなお引き裂かれてゆく自己(アイデンティティ)。
SM映画でも狂気の映画でもありません。

誰にでも起こりうる不条理を描いた映画にちがいありません。

この記事を書いた人
『いいお坊さん ひどいお坊さん』(ベスト新書電子版, 2011)、『心が軽くなる仏教とのつきあいかた』(啓文社書房, 2017)ほかの著者、勝 桂子(すぐれ・けいこ)、ニックネームOkeiです。 当サイト“ひとなみ”は、Okeiが主宰する任意団体です。葬祭カウンセラーとして、仏教をはじめとする宗教の存在意義を追究し、生きづらさを緩和してゆくための座談会、勉強会を随時開催しています。
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